みなさん、こんにちは。学術スタッフの中野です。とうとう近畿地方も梅雨入りしましたね。
◀アジサイも咲きました❀
雨が多いこの時期は、植物が元気になり、さらに緑がイキイキとして、とても良いです。
さて、せっかくなので、番所山でみられるシダ植物をご紹介したいと思います。
まずは、最近、観葉植物で人気のあるビカクシダ(シダ植物門ウラボシ科)です!
葉の形が鹿の角のような形をしているので、麋角羊歯(びかくしだ)と名付けられたそうです。なお、麋角とはヘラジカの角を意味するんだそうです。
◀玄関前のビカクシダ
◀単葉と普通葉
上の写真の丸い部分は「単葉(ネストリーフ)」と言い、そこから伸びている細長い部分は「普通葉(フォリッジリーフ)」というそうです。普通葉は光合成と胞子形成を担当し、単葉は落ち葉を受け止めて蓄え、肥料として利用するんだそうです。
玄関から階段を下りていくと、オオタニワタリ(チャセンシダ科)やタマシダ(ツルシダ科)が数多く観察できます。
◀オオタニワタリ
沖縄や台湾など気温が高い地域では、一般的にオオタニワタリは着生植物、つまり樹木の幹や枝に付着して生長することが多いのですが、白浜はそれよりも気温が低いので、上の写真のように岩の上や地上で生育するものが多くなるんだそうです。
◀こちらはタマシダ
私はてっきり、小羽片(小さい葉っぱのような部分)が丸くて可愛いので、タマシダというのかと思ってたんですが、そうではなく、匍匐茎の一部が丸く、玉のようになっている部分があることに由来するんだそうです。うちのタマシダも3本引き抜いてみたのですが、残念ながらタマシダの玉を発見することはできませんでした。涙。
ちなみにタマシダは、カナリーヤシ(別名フェニックス)の上にもいっぱい見られます。番所山では、第1駐車場の近くで多く観察できます。
◀カナリーヤシ上に生育するタマシダ
番所山のヤシ上の着床植物は、ほぼ100%がタマシダとなっていますが、ときどき違う植物が生えています。それを観察するのも楽しいですよ。^^
そして、番所山で保護植物に指定されているリュウビンタイ(リュウビンタイ科)です!こちらも観葉植物として人気が高いですよね。ここのリュウビンタイは大きすぎて、鉢植えは不可能ですけど。笑。
◀リュウビンタイ
和名の龍鱗(りゅうびん)は、株の托葉の重なり合う形状を龍の鱗になぞらえたものなんだそうです。
◀新芽からすらりと伸びた葉!
南方熊楠翁も那智山中にて、このリュウビンタイを採集されています。葉が美しく、心惹かれる気持ちが分かる気がします。
(シダ植物は後半・中級編に続きます。お楽しみに。)