ツチトリモチ

こんにちは閑話猿です。

現在開催中の企画展「南方熊楠と紀南の景勝地-南紀熊野ジオパークフォトコンテストの写真より-」(3月31日まで)には熊楠に関係するコーナーから資料を紹介します。今回は「ツチトリモチ」です。

展示しているツチトリモチの標本は熊楠が保管していたものです。さらに南方熊楠顕彰館にも保管されています。なぜ2館にあるのか、分割されたのか?その理由は熊楠日記をみるとわかります。

熊楠は1904(明治37)年12月5日大塔山で川島友吉が採集(1本)したものと、1917(大正6)年11月10日に近露の奥から杉若為吉が持参したものを保管しています。そのため、標本が2つあります。

このツチトリモチはキノコのような見た目をしていますが、光合成をしない多年草です。このような植物のことを菌従属栄養性植物といいます。ツチトリモチはハイノキ属のクロキやハイノキなどの根に寄生します。そして一方的に栄養をもらっています。

この名前の由来は根茎から「トリモチ」が取れるからだそうです。漢字で書くと「土鳥黐」か「蛇菰」と書くようです。後者は熊楠の「情事を好く植物」に「蛇菰科(つちとりもち)」とルビがふられています(『南方熊楠全集』第6巻 66頁 1913(大正2)年11月)。