こんにちは閑話猿です。
番所山のヤブツバキが花盛りです。ヤブツバキは日本原産の植物とされ、古代から神聖な植物として位置付けられていたようです。毎回引用している『有職植物図鑑』によると
『日本書紀』(景行天皇)には「海石榴の樹で槌を作り土蜘蛛族を滅ぼした」という
正月最初の「卯」の日に衛府から縁起物「卯杖」が献上されました。漢の王莽(おうもう)が始めた魔除けの「剛卯杖」に倣ったもので、『日本書紀』の持統天皇三年(689年)に「正月乙卯大学寮献杖八十杖」とあるのが最初の例です。卯杖の材木は陽木(ひなたの木)とされ(八條忠基『有職植物図鑑』 p.39)
ここに出てくる「卯杖」の現物は見たことはありませんが、「正月最初の卯の日」とあるのは、旧暦のことですから現在の節分後の卯、今年は2月14日が「初卯」でしょう。この初卯の日(節分後の初卯)は八幡神の生まれた日ともいわれ、「初卯祭」が行われます。
さらに『源氏物語』にも登場する「椿餅」は、ヤブツバキの葉で米粉の餅を挟んだもので、蹴鞠の際のスナック食だったそうです。古代日本のサンドイッチですね。流石に葉は食べられないものと思います。
卯年にちなんだヤブツバキのお話でした。