こんにちは閑話猿です。
6月1日は南方熊楠が昭和天皇へ御進講をした日でした。この時に熊楠がキャラメルの大箱で粘菌標本などを献上したエピソードは有名なものですね。本日6月10日はミルクキャラメルの日です。
ちなみに『南方熊楠全集』(乾元社)第1巻には冒頭に渋沢敬三が「南方熊楠全集 上梓のいきさつ」をよせています。その中で昭和天皇が敬三に語った熊楠のエピソードが述べられています。
終戦後の或日、私は陛下に拝謁を賜った際、談會々南方先生のことにも言及しました所、「南方は惜しいことをした。」と申され、ついでにニコニコされ乍ら、「南方には面白いことがあつたよ。長門に来た折、珍しい田辺付近産の動植物の標本を献上されたがね、普通献上と云うと桐の箱か何かに入れて来るのだが、南方はキャラメルのボール箱に入れて来てね。それでいいぢゃないか。」と仰せられたことがあります。平素凡そ批評がましいことを口になさらぬ陛下として、物心の本質をよく把握される片鱗を漏らされ嬉しく存じましたが、之も南方先生なればこそ極めて自然であり、陛下も殊の外親しみ深く思召されたのでありましょう(『南方熊楠全集』第1巻 乾元社)。
とあります。一見破天荒と見られがちの熊楠持ち前の感性は昭和天皇にも通じていたことがわかるエピソードです。
ミルクキャラメルの大箱 |
御進講時に持って行ったウガ |