曼珠沙華(2)

こんにちは閑話猿です。

この曼珠沙華は俗称が多いことでも知られています。

ヒガンバナ、マンジュシャゲ(カ)、リコリス、死人花(シビトバナ)、石蒜(セキサン)、マッサキ等。

熊楠は「石蒜の話」(『日本及日本人』 大正4年1月1日:平凡社版全集5巻 263-286〔追記含〕)において、『和漢三才図会』をひき

石蒜、俗に死人花といい、また彼岸花といい、東国で曼珠沙華と呼ぶ、とある。

とし、紀州海草郡でも「まっさき」と呼ぶとし「まんじゅさけ」から転訛したものだという。その他を挙げると

・てんがいばな―天蓋に似た花

・したまがり、どくほうじ―奥熊野、口熊野でいう。

・みみくさ―小児は耳にその汁が入ると腫れるため。

・かうらばな―「かうら」河童の方言。田辺でいう。

・みかんぐさ―彼岸花の葉でみかんをくるむと皮色香味がよくなる。

と、以上のように俗称をあげています。思わぬところで河童が出て来て驚きました。「カシャンボ」でなく「かうら」とは・・・。

熊楠は「石蒜の話」にはこの植物の効用や正月から「死人」の話をしてもいいだろう、といった熊楠の意見が述べられているので、興味があったら読んでみて下さい。

田のあぜにみる彼岸花