こんにちは。閑話猿です。本日8月24日は大正6年(1917)に南方熊楠が自宅の庭の柿の木から新種の変形菌を発見した日です。この変形菌をリスター親子に送り同定を依頼しました。それから後の大正10年(1921)にグリエルマ・リスター(アーサー・リスターの娘)により、これは「minakatella longifila(ミナカテラ・ロンギフィラ) 〔和名 ミナカタホコリ〕」と命名されました。
『日本変形菌誌』によると「ミナカタホコリ属」となっており、ミナカテラ・ロンギフィラ1種のみあるようです。発生する場所は、夏の生木樹皮または腐木上に稀にあるようです。
子実体の特徴を概略すると、「直径2mm程度の大きさ、ふつうは無柄で、稀に有柄。胞子の入った子嚢は赤褐色で亜球形」とあります。
熊楠はこの標本をご進講で昭和天皇に献上する際、手元に何点か標本を持っていたようです。しかし、ほとんどカビの被害により、献上に適うものは2点ほどでした。
現在このミナカタホコリについては和歌山県が実施したレッドデータブックの改訂に伴う「「和歌山県レッドリスト(素案)」に対する意見募集の結果について」の「菌類」の項目に見ることができます。この中の【情報不足(DD)】にミナカタホコリが掲載されています。すなわち、見つかっていないようです。今後このパブリックコメントを受け、レッドデータブックが改訂された暁には、掲載されているかもしれません。
最後にミナカタホコリの目撃情報がありましたらお知らせください。
ミナカタホコリの子実体イラスト