保田龍門の作品を見る

こんにちは。閑話猿です。

先日用事があり、和歌山市へ行ってきました。

初夏前の和歌山県庁は異国風な印象を受けましたが、鯉のぼりがたなびいていました。

県庁内部に入ると保田龍門の作品が2点ありました。二つとも昭和14年(1939)に作られた作品です。

1つめは 3階へ上がる階段に熊野地域に由来のある「高倉下命(たかくらじのみこと)」で、高倉下命が霊剣を神武へ献上している場面です。

中央の霊剣は柄頭を見るに「単鳳環頭大刀」をモデルにしているようです。高倉下命の腰には蕨手刀でしょうか。

ついついそんな所ばかり見てしまいます。

2つめは、4階へ上がる階段に丹生都比賣命(にゅうつひめのみこと)のレリーフがあります。

西洋風ですが、紀伊国伊都郡庵田村(現・九度山町東北部)の石口(いわくち)に丹生都比賣命が天降り『古事記』がモチーフになっているそうです。

ちなみに、この保田龍門は昭和16年(1941)12月29日に南方熊楠が亡くなった夜、熊楠のデスマスクを取った人物でもあります。

当時は開戦後で石膏も手に入りづらかったため、歯科医師からイタリア製の石膏をわけてもらって型をとったそうです。保田龍門の手がけた1点の作品であり、臨終時の熊楠を知ることのできる資料として記念館に展示されています。