皆さん、こんにちは。南方熊楠記念館の館長です。この季節に番所山の遊歩道を散策すると、あちらこちらに刺のある低木のナワシログミの赤い実が目立ちます。鳥たちは、この熟した実を目当てにナワシログミにせっせと訪れています。
グミの仲間にはナツグミやアキグミなどがありますが、このナワシログミは、田んぼの苗代をつくる頃、実が赤く熟すためこのような名前がつけられたようです。
年配の方は子どもの頃にこのグミの実を食べた経験があると思いますが、透明感のある赤色に完熟した実は食べることができます。しかし、完熟していない実を食べると、渋み成分のタンニンが含まれているため、渋柿を食べたようなエグさで舌がしびれてしまい思わずはき出してしまったという経験もあると思います。
グミの葉は中国では生薬として扱われ、熊楠が幼少のころ和漢三才図会とともに書き写した中国の医薬書「本草綱目」にも 胡頽子(こたいし)と記載があり、咳や喘息、出血に効用があるとされています。
以前から気にはなっていたのですが、果汁をゼラチンで固めたお菓子の「グミ」と関係があるのか調べてみました。お菓子のグミはドイツ語でゴムを意味するGummiに由来し、植物のグミは日本古来の語、茱萸「ぐいみ」(ぐいは刺、みは実)からで全く関連性はないようです。