こんにちは閑話猿です。
三重県南牟婁郡御浜町引作の引作神社境内にある大楠を見てきました。この楠は推定樹齢1500年といわれており、三重県の県指定天然記念物になっています。
この楠は明治時代に引作神社が合祀されたことで伐採の危機に瀕していました。1911年(明治44)6月27日の牟婁新報に「希世の大樟樹 南郡無二の歴史樹近く伐採されんとす」という新宮支局記者の記事が掲載されます。これを熊楠が見て、当時国の官僚だった柳田國男と東京朝日新聞の杉村広太郎(楚人冠)に応援を頼みました。
この伐採については柳田がすぐに動き同年7月17日の牟婁新報「樟樹保存に決す」と記事がでて伐採を免れたことがわかります。
この時熊楠は柳田に
音にきく 熊野櫲樟日の 大神も 柳の蔭を 頼むばかりぞ
と歌を送り杉村には、
木の路なる 熊野樟日の 大神も 偏に頼む 杉村の蔭
と、熊野櫲樟という『古事記』『日本書紀』に登場する神名を挙げ、「柳」田と「杉村」に「頼む」と送っています。
実際にこの大楠を見るとその大きさ、樹木の生命力に圧倒されました。その姿はこの大楠だけで「山」だと感じられます。この偉容は是非現地で見てもらいたいです。
現在開催中の特別展「南方熊楠と熊野古道」においてもこの大楠に関する展示も行っています。