熊楠の言葉・生命の言葉

こんにちは閑話猿です。

最近神社のSNSで熊楠の「世界にまるで不用の物なし」という言葉の投稿がよく見受けられます。

神社関係の方からのお話ですと、東京都神社庁の令和6年5月「生命の言葉」に熊楠の言葉が選ばれたようです。

過去には熊楠の大学予備門時代同期だった夏目漱石の「やろうと思わなければ 横に寝た箸を竪(たて)にする事も出来ん(令和4年11月)」や二宮尊徳、孫子なども引用されています。

東京都神社庁のHPには、熊楠が周辺で土器の採集を行った王子神社【王子権現】(東京都北区王子本町1-1-12)や紀州和歌山に関係がある紀州神社(東京都北区豊島7-15-1)も紹介されているので、東京にお住まいの方は、神社に行ってこの「生命の言葉」を探してみてください。

ちなみにこの言葉は、十二支考の「鼠に関する民俗と信念」で、ロシアの油虫封じの行事の説明のなかででてきます。

油虫ごとき害虫も家に留むれば福を齎すというはよく考えると一理あり。世界にまるで不用の物なし。多くの菌類や黴菌は、まことに折角人の骨折って拵えた物を腐らせ悪(にく)むべきの甚だしきだが、これらが全くないと物が腐らず、世界が死んだ物で塞がってニッチも三進もならず。(『南方熊楠全集』1巻 580―581頁)」

熊楠の繊細なそして視野の大きな思考を表する言葉ですね。

 

東京神社庁 「生命の言葉」

http://www.tokyo-jinjacho.or.jp/inochinokotoba/r0605/

 東京都北区の王子神社