こんにちは閑話猿です。
先日田辺の旧南方邸で間近にヤドリギを見る機会がありました。鳥がヤドリギの種を食べ、排泄物に混ざった種子が木にくっつき発芽して大きくなります。
現代のヤドリギは日本では樹木の景観にとって悪いもののようにされていますが、8世紀頃の日本では、千年の寿命を得る縁起の良い植物とされていたようです。天平勝宝2(750)年に詠まれた大伴家持の歌に「あしひきの 山の木末のほよ取りて かざしつらくは 千歳寿ぐとぞ」があります。このなかで「ほよ」を取り頭に挿すと千年の寿命を得るとしています。
ヨーロッパで冬枯れのなか緑のヤドリギは妖精の集まる場所とされていたようです。そして日本では生命力とされたのでしょう。
参考:八條忠基 『有職植物図鑑』 平凡社 2022年