こんにちは閑話猿です。
次回特別展の準備で関東へ行ってきました。目的は色々とあったのですが、ひとつは江戸川の河川敷にある小岩菖蒲園です。ここには牧野富太郎が発見した水草「ムジナモの碑」があります。
2023年04月18日の新潟大学の報告にありましたが、石川県内の農業用ため池から自生個体群のムジナモが発見されたそうです。牧野富太郎が1890年に発見したムジナモは1960年代後半までには国内のすべての野生個体群が消失していたそうです。そのため、今回の発見はため池が生物保存のかけがえのない価値をもっていると述べられています。
ムジナモを牧野富太郎が発見し、命名した翌年、南方熊楠は以下のように書簡に書いています。
小生等生物を発見して名を命ずるに、世界のどこにどんなものがあるか知れず、たとえば、前年牧野富太郎氏が本邦で見出だせるムジナモなどは、まことに奇怪な草だが、西欧のポルトガルと日本と豪州付近とに同一種を産す。(中略)どんなに非常なものを見出だしても世界中を聞き合わせた上でなければ、決して命名などすべきにあらず。故に小生はずいぶんいろいろ見出だしあるも、今日までたしかに命名せしは、粘菌という一群に限る(寺石正路宛書簡 『南方熊楠全集』第9巻 p.358-359)。
このように述べています。牧野富太郎と南方熊楠ふたりの植物学上における思想の違いがよくでている意見と思います。
新潟大学「牧野富太郎博士ゆかりの水草ムジナモ(絶滅危惧IA類)国内自生地を発見」
小岩菖蒲園のムジナモ発見の碑 | 小岩菖蒲園のムジナモ発見の碑解説 |