こんにちは閑話猿です。
7月10日までの特別展「熊楠の模写資料展 学びは真似から」の会期ものこすところ一ヶ月をきりました。実は6月から一部の展示資料のページを変更しています。色々なページも見ていただきたいことと、最低限の資料保護になります。
今回は熊楠が写した『和漢三才図会』の別のページです。写真の左側は「太微垣之図」ですね。これは「たいびえんのず」と読み、古代中国の天文学の一部を表したものです。
現在の西洋の星座に当てはめると、しし座、おとめ座、かみのけ座の辺りになります。そして中央には「五帝座」が十字にあり、「太子」など星に官位がついていることがわかります。すなわち、人間の作った官位を星座に当てはめているわけです。
こうした『和漢三才図会』の知識が熊楠が『ネイチャー』に投稿した「東洋の星座」へ発展していくのです。
ここには描かれていませんが、北極星(こぐま座α星:こぐまの尻尾)は宇宙の中心であり、皇帝の意味を持ちます。そうした天の中心であることから、「北斗真君」「妙見菩薩」への信仰につながっていきます。ちなみに、「北斗真君」は「死」を司り、「南斗星君」は生を司ります。4世紀の志怪小説である『捜神記』には北斗と南斗に礼をつくして、寿命をのばしてもらう話がでています。
北極星の話に戻すと現在見えるものはこぐま座のアルファ星という2等星です。しかし、5000年ほど昔、ピラミッドが作られた時代には、りゅう座のアルファ星のツバンという3等星が北極星だったようです。壮大な時間の流れを感じますね。
夏の納涼に外に出て星を眺めてみてはいかがでしょうか。
国立科学博物館 宇宙の質問箱
https://www.kahaku.go.jp/exhibitions/vm/resource/tenmon/space/seiza/seiza03.html