こんにちは閑話猿です。
本日は中秋の名月ですね。別名「芋名月」ともいいます。
日本各地には、「片見月はするな」という言い伝え、すなわち十五夜(旧暦8月15日)を見たら十三夜(旧暦9月13日)も見なければ縁起が悪いというものです。
また、落人伝説や落城の伝説がある地域では、月見を禁忌ともします。千葉県市川市の国府台地区は、里見氏が治めていました。しかし、北条との戦の際に月見をしていたところ、襲撃され滅ぼされたため、この地区では月見を禁忌としたそうです。また、同市内の行徳にも同じ習俗があったようです。
熊楠も「日月中の想像動物」(初出『日本及日本人』:平凡社版全集5)において、太陽に烏、月に兎といった動物が想像された類例を挙げています。日本では中国の影響で兎ですが、地域が変われば、月にみられるものも変わってきます。
曰くアメリカでは、ワニ・髪の長い女性といわれ、英国でも女性だといいます。
熊楠が生涯で見た月は兎(日本)→ワニ(米国)→女性(英国)→兎なのでしょう。
また、月には桂の木を切る男がいるという中国の伝説があります。転じて月を見すぎるとこの「桂男」招かれ命を落とすそうですから、お気をつけ下さい。
熊楠が模写をした『和漢三才図会』月の解説 |