梅雨の番所山の花

皆さん、こんにちは。南方熊楠記念館の館長です。今年の梅雨入りは気象庁が統計を取り始めてから史上最速の早さで梅雨入りをしました。これから7月中下旬まで長雨が続くと思うと気がめいってしまうこの頃です。

梅雨の晴れ間に記念館の展望デッキに立つと、どこからともなくジャスミンのような甘い香しい匂いが漂ってきます。

展望デッキから周囲の林を見おろすと、高木にからみついたツル植物のテイカカズラが白い花を咲かせ、ハチやハナムグリ(こがね虫の仲間)などが蜜や花粉を求めやって来ています。

この植物は小倉百人一首で有名な藤原定家に由来し、定家が死後、愛した式子内親王のことを忘れることができず、カズラとなって彼女の墓にからみついたという謡曲(能)から命名されています。

また、記念館の階段近くには、テイカカズラに負けず甘い香りを放っている薄いピンク色のササユリが咲いています。以前、ササユリは紀南の地にもたくさん自生していましたが、花が綺麗なため乱獲され、また球根はイノシシの大好物で食べられ数を減らしています。

私が子どものころの記憶ですが、ササユリの花びらを一枚外し手で軽く揉み透明になった花びらに息を吹き込み風船玉にして遊んだことを懐かしく思い出します。

テイカカズラ テイカカズラ ササユリ