南方熊楠の収集した標本類は膨大な量であり、時には何なのかわからないものもあります。
そんな時は専門家の力を借りて、資料の同定を行うことあります。
今回は国立科学博物館へ3点の資料同定をお願いしました。
まず写真1は、ネズミのようなものです。同定結果は「ハツカネズミがであろう」との事です。
写真1 |
そして写真2は何か爪のようなものです。毛も少しだけついています。本館の資料目録によると「猫か?」と思われていたようです。この結果は「ツキノワグマの爪に一致している」そうです。この大きさからすると子どものツキノワグマなのでしょうか。加工された跡か虫害か不明ですが、穴もあいています。
写真2 |
そして最後に今回一番話題になっていた牙のある動物の頭の骨です(写真3)。鼻が長くて牙もあることから当初「オオカミの頭蓋の可能性がある」と言われていました。ニホンオオカミは明治時代に絶滅しました。現在その姿を見ようと思うと剥製標本は日本国内で3体しかなく、国立科学博物館、東京大学農学部、和歌山県立自然博物館にしかありません。頭蓋骨を魔除けとしてまつる事例は日本各地にありますが、熊楠が収集していたとなると非常に面白い資料となります。
写真3 |
それでは【同定結果】をお伝えします。結果は「アカギツネ」で間違いないとの結果をお伝え下さいました!オオカミでなかったのは残念ですが、正確な情報が得られたのでこれは喜ばしいことです。
こうした資料は企画展や特別展で展示の機会がありましたら、公開していければ考えております。
今回資料同定を行っていただいた国立科学博物館の関係者の方々には御礼を申し上げます。