オカフジを見てきました

皆さん、こんにちは。南方熊楠記念館の館長です。新緑がきれいな季節となり、野山のところどころでは、紫色のフジの花が彩りを添えています。

先日、地元の地方新聞でも紹介されましたが、熊楠にゆかりのある上富田町岡にある田中神社を訪れオカフジを見てきました。

このオカフジの特徴は房が短いことは以前から知っていましたが、他のフジの花と詳細に見くらべたことがなかったので、一度、花の写真を撮り比べてみたいと思っていました。郊外のフジの花を探し写真を撮り見比べると、個体差はありますがやはり花弁の形状や大きさ、色合いが微妙にちがいオカフジ独特の特徴があることがわかりました。

このオカフジはきのこ四天王のひとり、樫山嘉一が田中神社の森に生えているフジの花が他のフジの花とちがい、房が短いということに気がつき、熊楠のところに持ち込み調べてもらった種です。

熊楠は日本最初の植物図鑑と言われる「本草図譜巻」にキフジ、オカフジと出ている種であることを調べ、上富田町岡に自生しているから、オカフジという名前がよいと樫山嘉一に書簡で返しています。

また、熊楠が樫山嘉一や宇井縫蔵に宛てた書簡で、熊楠と同時代に活躍した日本の植物学の父と呼ばれる植物学者牧野富太郎が古くからキフジ、オカフジと命名されているにも関わらず、この種をヤマフジと命名したことに対し、熊楠は山に生えている房の長いフジと混同され誤解されると批判をしています。熊楠と牧野富太郎との関係はその後も並々ならぬ確執が続くことになります。

現在、オカフジは田中神社の森(国名勝指定 南方曼荼羅の風景地)とともに県の天然記念物に指定され保護されています。

オカフジ(上富田町田中神社)

オカフジ(上富田町田中神社)

オカフジ(上富田町田中神社)

普通のフジ(田辺市動鳴峡)

普通のフジ(田辺市動鳴峡)

普通のフジ(田辺市動鳴峡)