皆さんこんにちは。南方熊楠記念館のチョボいちです。
展示室には出していない旧標本庫の熊楠の標本の整理をしています。珍しいものを紹介していこうと思います。熊楠のトランクの中にあったという地衣類の標本で、折りたたまれていますが、広げると1m四方くらいのシート状になる網のような大きなものです。日本ではこんな地衣類は見られません。平成9年につくばの国立博物館の柏谷博之先生に同定していただいています。カラタチゴケ属のRamalina menziesii Taylorで、アメリカ西海岸アラスカ南部からカルフォルニア半島でみられるもので、森の木にぶら下がっていて、ヘラジカなどの餌になるそうです。そろそろクリスマス、トナカイもツンドラの地衣類を食べますよね。おそらく熊楠は、アメリカでの自慢話をするときには、この標本をトランクから出して見せながら、珍しい動植物の話をしていただろうと思います。
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