皆さん、こんにちは。記念館の「チョボいち」です。
昨日に引き続いて変形菌の展示方法の紹介です。記念館の変形菌は、昨日紹介した方法でずーっと生き続けています。変形菌は単細胞生物です。一枚のいりくんだ細胞膜のなかに原形質というゼリー状の物質がつまっています。そのゼリー状の物質のなかに核やミトコンドリアなどの細胞小器官がたくさん流れています。原形質流動というのを生物の授業で聞いたことがあるかも知れません。変形菌は多核体なので、核は一枚の細胞膜の中にたくさんあり、たくさんのミトコンドリアなどと一緒に流れています。ですから一部分を切り取られても、細胞膜を修復すれば核もミトコンドリアも含まれているので、一つの細胞として再生できるのです。二つの変形体の細胞が融合することもあります。
5月19日に切り取った部分右側に、餌のオートミールを左側に置き、一晩経った写真です。16:00頃に切り取り、翌日の9:00頃なので、17時間くらい経っています。その間に細胞膜を修復して、血管のような管を伸ばしながらアメーバーのように移動した結果です。躊躇して這ったあとは、白っぽく残っています。オートミールは漂白したものは嫌いです。いろんな餌をやってみましたが、塩分や人工甘味料などは苦手です。シャーレの直径は90㎜です。先端は折り返して移動しているので1時間に10㎜近く移動しました。
本館の展示です。4月から顕微鏡画像がそのままモニター画面で見られるようにしています。モニター画面でくねっと曲がっているのが、変形体の管の一部です。ドロドロと原形質が流れているのが見えます。2分くらい見ていると、その流れが一旦止まり、逆流するのが見られます。ゆっくりと最適な方向を探しながら移動していきます。朝、セットすると、下からの顕微鏡の光を嫌うので、昼頃には画面から見えなくなることが多いです。
核やミトコンドリアは増殖しながら移動して、変形体はドンドン大きくなります。培養容器を工夫して大きくして、オートミールをたくさんやれば1m近くの変形体も培養可能です。このシャーレでは1日以上そのままにすると、蓋の隙間からすり抜けて、逃げ出してしまいます。
這い出して、濾紙の上で子実体に変身したものです。ここで胞子を飛ばして、湿った場所で粘菌アメーバになり、接合して栄養を吸収して多核体の変形体に戻ります。どこがはじめで、どこが終わりかわかりません。連綿と続きます。
次の記事:ネズミモチの花とモチノキの実:5月23日
前の記事:変形菌培養寒天作り:5月21日