サルトリイバラの餅「いびつ」:5月15 日

皆さん、こんにちは。記念館の「チョボいち」です。
第3展望台広場の展望塔の下に猿(申)のチェーンソーアートがあります。

広場の茂みにサルトリイバラSmilax china L.が青い実をつけていました。この棘のあるつるに、サルが引っかかって捕れるというネーミングです。丸い葉ですが、花を見るとユリ科に近い植物で、単子葉類になります。

どこかで見たことがある葉ですよね。当地方では、この葉で「いびつ」と呼ばれる餅を作ります。「いびつ」というのは、この葉の形からつけられた名前かもしれません。この餅は「いばらもち」、「かしわ餅」と言うこともあります。かしわ餅といえば五月の節句に食べる「柏餅」をイメージしますが、当地方には柏(ブナ科のカシワ)の木はありません。カシワの葉には細かい毛が生えているので、餅がくっつかず、一枚の葉を折って餅を包めるので手頃ですが、当地方には無いのでこのサルトリイバラの葉で代用します。当地方で「かしわ餅」といえば、このサルトリイバラの葉二枚で挟んだ餅になります。昭和の頃には、家庭でもこしあんを練って、餅に包んで、サルトリイバラの葉で包み、蒸籠で蒸して作ったものです。やはり端午の節句の頃の葉を使ったように思います。ほのかに葉の香りが餅に移って美味しいですし、蒸しても葉が崩れず、餅にくっつきません。餅にフィットした形で、萌えだしたばかりのツヤツヤ、ツルツルの葉を用いるセンス、なかなか良いと思いませんか。