1:土俗学 民俗学と民族学が分化する以前の称。
2:民俗学 一つの民族(主として自民族)の伝統的な生活文化・伝承文化を研究対象とし、文献以外の伝承を有力な手がかりとする学問。
3:民族学 民族文化の特質を歴史的にまたは他文化との比較によって研究する学問。個々の民族の起源・系統・類縁関係・影響関係などを究明する歴史民族学的な方法と、個別の民族文化の記述・分析を重視する方法とがある。
4:人類学 人類の形質・文化・社会の多様性と普遍性を、さまぎまな側面から総合的・実証的に明らかにする学問。
形質面の研究を主とする形質人類学と文化や社会生活から接近する文化人類学・社会人類学とに大きく分ける。
5:宗教学 諸種の宗教現象を比較・研究し、宗教の本質を客観的・普遍的に把握しようとする学問。十九世紀末から特に開拓。
6:歴史学 人類社会の過去における変遷・興亡のありさまや、物事の現在に至る来歴などを研究の対象とする学問。
7:考古学 遺物や遺跡によって人類史を研究学問。
8:博物学 動植物や鉱物・地質などの自然物の記載や分類などを行った総合的な学問分野これから独立して生物学・植物学などが生まれる前の呼称。明治期にnatural historyの訳語に用いられたが、中国でも本草学として古くから発達。博物誌・自然誌・自然史。
9:生物学 生物を対象として研究する学問。生物の種類により動物学・植物学・微生物学などに、また現象や研究手段により分類学・解剖学・発生学・生理学・生化学・生態学・遺伝学・生物地理学・古生物学・進化学などに分ける。
10:本草学 中国に由来する薬物についての学問。薬物研究にとどまらず博物学の色彩が強い。日本へは奈良時代に伝えられ、「本草和名」などが現れたが、江戸時代に最も盛んとなり、貝原益軒の「大和本草」、稲生若水の「庶物類纂」、小野蘭山の「本草綱目啓蒙」が現れ、さらに西洋博物学の影響も加わって、多くの人がその発展に寄与した。
11:植物学 植物の分類・形態・発生・生理・適伝・進化などを研究する学問。
12:微生物 肉眼では観察できない微小な生物の総称。真核生物の藻類・原生動物・真菌、原核生物の細菌・藍藻などがあり、細菌にはクラミジア・リケッチア放線菌も含まれる。
13:地衣類 植物分類学上の一門。菌類と藻類との共生体をなす植物の一群。菌の有する菌糸は葉緑素を含む藻に付着してこれを取り囲み、水と共に吸収した無機塩類を藻に送り、藻は同化作用によって作った有機生成物を菌に分配し、共生しつつ樹皮・岩石に着生する。
14:菌類 きのこ・かびなど変形菌・真菌類の総称。糸状の細胞または細胞列(菌糸)から成り、葉緑素を欠き、他の有機物から養分を吸収して生活をする。生殖は主として胞子による。担子菌・子のう菌・接合菌・変形菌・鞭毛菌・不完全菌頬に大別され、菌界を構成する。また、広くは細菌・放線菌・真菌類などの総称。
15:粘菌(変形菌) 下等菌類の一群で、植物分類上の一門。栄養体は変形体といい、不定形粘液状の原形質魂でアメーバ運動をする。子実体は赤・黄など鮮やかな原色のものが多い。繁殖は胞子により、発牙すれば配偶子となり、さらに癒合して変形体となる。ムラサキホコリカビ・カワホコリカビ。
16:地学 主に固体部分の地球とそれに関連する現象を扱う自然科学諸分野の総称。地形学・海洋学・古生物学・地質学・岩石学・鉱物学・地球化学・地球物理学などを含む。
17:地質学 地学の一部門。地質に関する知識をもとに、地球上の諸現象を解明し、地球の歴史をひもとき、地下資源探査や環境保全などの基礎となる研究分野。
18:鉱物学 鉱物の形態・性質・成因・産出状態などを研究する学問。
19:岩石学 地質学の一分科。岩石の性質・産状・相互関係・成因などを研究する学問。
20:天文学 天体とその占める空間に関する科学。自然科学として最も早く古代から発達した学問で、天体と天体の集合体の運動・形態・物理状態・化学組織・進化等と宇宙の構造などを研究する。星学。

(上記は岩波書店広辞苑第4版より)