熊楠に関する書籍の紹介 粘菌×縄文

こんにちは閑話猿です。

今年2024年は熊楠に関する書籍が多数刊行されており、その内容も多種多様です。

今回紹介するのは唐澤太輔・石井匠『南方熊楠と岡本太郎-知の極北を超えて-』(以文社 2024年)です。

本書は著者同士が南方熊楠と岡本太郎について対談している内容です。両者の生い立ちや生活、そして海外での生活、思想などにも触れられています。私は岡本太郎については「芸術は爆発だ」という言葉と大阪府吹田市の太陽の塔くらいにしかイメージがありませんでしたが、本書はそんな初心者にもわかりやすく書かれていました。

特に本書のメインだと感じたのは、第五章「粘菌と縄文」です。粘菌は熊楠、縄文は岡本を示唆したタイトルとなっています。ここでは熊楠と岡本が「出会うべくして出会ってしまった」(219頁)粘菌と縄文土器について語られています。この章を読んでいて感じたのは、熊楠も縄文土器については興味を持っていたことです。東京大学予備門時代の熊楠は大森貝塚や東京都北区の山林学校などへ足を運んで土器の採集をしています。もっとも熊楠は人類の進化について興味があったようなので、岡本とは縄文土器を見る目線が異なっていたのかと思います。縄文土器にはそういった魔力が宿っているのかもしれません。

本書は対談形式なので、比較的読みやすいです。南方熊楠と岡本太郎の両者について知るには適当かと思いました。